メソッド演技とは

「メソッド演技」とは、スタニスラフスキー・システムの演技理論に感銘をうけたリー・ストラスバーグ氏(1901年 - 1982年)がニューヨークで確立した演技法です。

それまでのアメリカ演劇界は、顔や台詞の言い回しで状況を説明する演技でしかありませんでした。しかし、ストラスバーグ氏が自身のアクターズ・スタジオで「追体験」する演技理論を導入したことで、アメリカの映画界や演劇界は大きく変わりました。

メソッド演技では、コンスタンチン・セルゲーヴィチ・スタニスラフスキー氏(1863年 - 1938年)が初期に伝えた「感情の記憶」、つまり五感を使って俳優個人の過去の記憶を引き出すことに重点を置いています。
役が置かれている状況、役が登場する前の人生、思考、経験を全て用意し、台本に書かれた役の人生を舞台上で体験するリアリズムの演技法です。

後にこのメソッド演技は、当時共にいたステラ・アドラー氏(1901年 - 1992年)の「行動と想像力」を重点に自分の感情ではなく言葉の裏にある想念を具現化する演技法、サンフォード・マイズナー氏(1905年 - 1997年)の「衝動の働き」を重点に自分の実感を相手にぶつけることで相手の反応からアクション(行動)を得る演技法に分かれました。

私は指導者として申し上げますが、このメソッド演技の全てを理解した上で基礎となる「スタニスラフスキー・システム」をしっかりと学んで頂きたいと思います。後は、それぞれ俳優個人の感受性次第です。


実践が全てでありメソッドは捨てること

演技を学ぶにあたり、決して与えられたメソッドだけにとらわれないことです。なぜなら、俳優とは舞台での実践が全てあり、失敗や経験から自分自身の正しいメソッドを見つけていくことが最も大切だからです。
また、舞台の上ではそのメソッドを一度捨てなければなりません。実践では、どんなメソッドも無意味であり邪魔になります。
本来メソッドとは、孤独の修行の中で学んでいくものです。その地道な努力と修練、そして舞台経験を積み重ねていくことで、メソッドを感じさせない素晴らしい演技ができる俳優になっているはずです。



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