劇団四季では、その台詞がどういう構造になっているかを分析し、意識の変化が起こっているところで息を吸う「折れ」という技法があります。この「折れ」には、大折れ、中折れ、小折れと分類されています。また、一息で前の台詞から意識を残したまま次の台詞につなげることを劇団四季では「リエゾン」と言っています。
私達は普段会話する時に、語っている動機が同じ間は一息です。台詞もそれと同じように言わなければ不自然になるのです。息が続かないからと言って途中で台詞が途切れてしまったら、そこで必然的に芝居を変えなくてはいけません。つまり、きちんと「折れ」が入っていれば途切れないのです。
<習得するための目的>
①腹式呼吸を基本に、腹背筋で息を取り込み長く吐き切る「ロングブレス」をマスターすること。
②50音1行1ブレスの「レギュラー表」をマスターすること。
③台詞(歌詞)を「ア・イ・ウ・エ・オ」5つの母音に変え、正しい開口・発声で母音を分離する感覚を身体に入れること。
④台詞(歌詞)にある「連母音(同母音・異母音)共鳴変化」「連子音」「長音」「半母音」「鼻濁音」をはっきりさせて言葉の意味を鮮明にすること。
⑤台詞(歌詞)における「折れ(意識の変化)」「リエゾン(意識をつなげる)」をきちんと理解して演じること。
私は、これまでに数多くの舞台を観てきましたが、ほとんどの舞台が見るに耐えないものばかりでした。どんなに素晴らしい作品であっても、観客まで言葉がはっきり聞こえないと内容が全く伝わってこないのです。しかし、劇団四季は「ストレートプレイ」と「ミュージカル」共に美しい日本語を伝えることができる演劇界で日本最高の劇団と言えるでしょう。
私は、スタニスラフスキー・システムは世界に共通する演技法だと思っています。私自身、それを基本に劇団四季で学んだこのメソッドは本当に素晴らしいものであると確信しています。
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