劇団四季メソッドとは

「劇団四季メソッド」とは、台詞(歌詞)において明瞭で聞き取りやすい言葉を追求した演出家の浅利慶太氏が、観客へ作品を正確に伝えるために確立させた劇団四季の独自メソッドです。
メソッドには、主に「呼吸法」「母音法」「フレージング法」の3つがあります。

ほとんどの演劇系の学校では発声練習に歌舞伎の「外郎売」や「早口言葉」を取り入れていますが、これらは日本人の弱点である滑舌を良くするための訓練には全くなりません。なぜなら、日本語はもともと喉声で早口になり滑りやすい言語だからです。

浅利慶太氏はそのことにいち早く気が付き、ただシンプルに「呼吸法」と「母音法」をマスターすれば、言葉をはっきりと伝えることができると考えました。特に劇団四季の「母音法」は、言葉を一音一音均等に分離させることで、一文字ずつはっきり聞こえる日本語を可能にしました。

もちろん、ここまでは肉体的な発声の基本でしかありません。そこに俳優個人が文学的にアプローチする「フレージング法」が大切になってきます。この「フレージング法」がないと台詞はただの棒読みになります。


独自メソッドから生まれた「折れ」と「リエゾン」

劇団四季では、その台詞がどういう構造になっているかを分析し、意識の変化が起こっているところで息を吸う「折れ」という技法があります。この「折れ」には、大折れ、中折れ、小折れと分類されています。また、一息で前の台詞から意識を残したまま次の台詞につなげることを劇団四季では「リエゾン」と言っています。

私達は普段会話する時に、語っている動機が同じ間は一息です。台詞もそれと同じように言わなければ不自然になるのです。息が続かないからと言って途中で台詞が途切れてしまったら、そこで必然的に芝居を変えなくてはいけません。つまり、きちんと「折れ」が入っていれば途切れないのです。

<習得するための目的>

①腹式呼吸を基本に、腹背筋で息を取り込み長く吐き切る「ロングブレス」をマスターすること。

②50音1行1ブレスの「レギュラー表」をマスターすること。

③台詞(歌詞)を「ア・イ・ウ・エ・オ」5つの母音に変え、正しい開口・発声で母音を分離する感覚を身体に入れること。

④台詞(歌詞)にある「連母音(同母音・異母音)共鳴変化」「連子音」「長音」「半母音」「鼻濁音」をはっきりさせて言葉の意味を鮮明にすること。

⑤台詞(歌詞)における「折れ(意識の変化)」「リエゾン(意識をつなげる)」をきちんと理解して演じること。

私は、これまでに数多くの舞台を観てきましたが、ほとんどの舞台が見るに耐えないものばかりでした。どんなに素晴らしい作品であっても、観客まで言葉がはっきり聞こえないと内容が全く伝わってこないのです。しかし、劇団四季は「ストレートプレイ」と「ミュージカル」共に美しい日本語を伝えることができる演劇界で日本最高の劇団と言えるでしょう。

私は、スタニスラフスキー・システムは世界に共通する演技法だと思っています。私自身、それを基本に劇団四季で学んだこのメソッドは本当に素晴らしいものであると確信しています。

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