言葉を明確に伝えることが俳優の役目

芝居とは、まず言葉を明確に伝えることが俳優の役目です。しかし、そこに生きていなければ、ただの音にしかなりません。 即ち、芝居とは「役の人生を生きること」「自分として生きること」です。

全く勘違いをしている演出家や俳優が多いのですが、大切なのは「発声」よりも「表現する熱い思い」であり、それが観客に伝われば言葉はハッキリ聞こえなくても良い。 これは、大間違いです。

言葉とは文化ですから、演技とは何かを語る以前にコミュニケーションの基本です。 役者は、作家の代弁者であり、内容を明確に観客へ伝えること。それが、役者としての責任です。
しかし、土台となる発声と台詞の基本技術がなく、感情のコントロールが未熟な俳優には、ただ力んで怒鳴っている演技にしかならない。 だから、技術を磨かなければならないのです。それと同時に「表現する意志の強さ」も鍛えること。 技術を磨くということは、「自分を磨くこと」なのです。それを決して忘れてはなりません。


スタニスラフスキー・システムとは

技術を磨く上で、大切な演技法の1つが「スタニスラフスキー・システム」です。 この演技法を知らずして、芝居は語れません。むしろ、このメソッドは役者だけに限りません。 厳しい社会の中で生きる現代人や働く会社員など、「もっと強い人間になりたい」「自分を上手く表現したい」「自分を変えたい」と思う全ての方々に当てはまります。

「スタニスラフスキー・システム」とは、想像力に刺激を与えることで自分自身の感覚・感情を呼び覚まし、作品が求めている役を日常的なものとして現実的(リアル)に表現するための訓練法です。 即ち、いかに自然に自分の実体験を役に重ね合わせ、台本の中にいる役の人生を生きることができるかです。
勘違いして頂きたくないのは、「感情」で演ずるのではないということ。「意志」が大切なのです。 私たちは、「意志」があるから行動する。 つまり、演技とは「意志のともなった行動」でなければならないのです。

<習得するための目的>

@「心の開放」「感情を解放」「虚構の世界を信じる」それらを妨げる理性・自意識を捨てること。

A演技に最も大切な想像力・集中力を高めること。

B役の表面的な解釈でなく、深層心理(本能)を引き出し具体化していくこと。

C演技で最も陥りやすい「感情芝居」を防ぎ、自分に何が欠けていて、どんな訓練をすれば良いかを明確にすること。
*「感情芝居」とは、役の意志ではなく客観的な感情の意志で演ずる行為。

D魂を磨き、強く生きる意志を養うこと。


「演技は習うものではない」「個性がなくなる」と言っている俳優をよく見かけますが、基本を身に付けずして個性は生まれません。

「スタニスラフスキー・システム」とは、自意識や余計な煩悩を捨て、「心を開放」することでその先にある本当の自分自身を見つけ出すこと。 それを習得すると、今までに体験したことのない感覚(第六感)が目覚め、新しい発想や今まで気付けなかったものが、次から次へと生まれてくるのです。 すなわち、それが自分の個性になっていくのです。

皆さんは、普段の社会生活で「良い人を演じている自分」「強がっている自分」など、本当の自分ではなく仮面を被って生きていませんか? 力を抜いて、無駄なものをそぎ落とし、本来の自分をさらけ出し表現すること。その状態へと近づけていくのがこの「スタニスラフスキー・システム」のメソッドなのです。
ただし、このメソッドは、少し勉強しましたという程度でそう簡単に身に付くようなものではありません。かなり、勇気と根気強さがいります。 また、この演技法を忠実にしっかりと教えられる講師は、まず数少ないと思って下さい。

「本物の芝居を身に付けたい」と思っている方には、決して避けらない登竜門であると覚悟して頂きたい。 必ずや本当の自分を見つけ出し、変わることができます。 つまり、自分自身を信じることが大切なのです。



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